遺言・相続

ケース概要：

• 依頼者：井上様（仮名）、50歳、女性
• 案件内容：亡くなった両親の相続財産（自宅・預貯金）の分割を巡り、兄弟姉妹間で意見が対立
• 相手方：弟・妹

事件の背景：

井上様は長年両親の介護に携わり、両親の死後、自宅や預貯金を含む遺産をどのように分配するかについて、弟・妹と話し合っていました。しかし、以下の点で意見がまとまらず、紛争化してしまいました。

• 不動産の評価額についての認識差
• 井上様の介護に対する貢献度
• 弟・妹の経済状況や扶養家族の有無などによる主張の食い違い

話し合いが平行線をたどり、このままでは家庭裁判所の調停・審判に進む可能性が高い状態でした。

弁護士としての対応：

1. 相続財産の調査・評価
   • 不動産査定方法
     • 家庭裁判所の調停において一般的に用いられる査定方法を採ることを説明。
   • 預貯金の残高確認：通帳や取引履歴を精査し、正確な額を把握。
2. 示談交渉の開始
   • 井上様の介護に対する寄与分を家庭裁判所の審判例を提示し、説明。
   • 兄弟姉妹で対面交渉すると感情的になりがちなため、弁護士が代理として連絡・折衝を担当。
   • 相手方の事情（経済状況や家族構成）も考慮した譲歩案を用意して話し合いを円滑化。
3. 最終合意・費用の目安
   • 弁護士費用（示談交渉）：着手金は11万円、報酬金は最終取得財産（経済的利益）×報酬金算定率。
   • 合意案：依頼者が自宅を相続し、代償金として預貯金の一部を弟・妹に渡す。
   • 調停・裁判に進まずに済み、時間的・経済的負担が軽減された。

まとめ：

このケースでは、当初は家庭裁判所の調停を視野に入れていましたが、示談交渉により話し合いがまとまり、コストと時間を最小限に抑えることができました。家族間の感情的な衝突も軽減され、最終的に兄弟姉妹全員が納得できる形で解決に至りました。

ケース概要：

• 依頼者：小林様（仮名）、60歳、男性
• 案件内容：父親の遺言書が複数見つかり、どの遺言書が有効かを巡って相続人間で対立
• 相手方：姉・弟

事件の背景：

小林様の父親は晩年、入退院を繰り返しながら複数の遺言書を作成しており、内容に食い違いがありました。

• 日付の異なる自筆証書遺言が2通存在。
• 父親が認知症の初期症状を持っていたとの医療記録があり、「判断能力を欠いていた可能性がある」と相手方が主張。
• 相手方は「最も新しい遺言書は無効」とし、別の遺言書の存在を優先。

話し合いは感情的にこじれ、当事者同士では解決できない状況に陥りました。

弁護士としての対応：

1. 遺言書の有効性チェック
   • 自筆証書遺言における日付・署名・押印の確認。
   • 医療記録や医師の意見を収集し、作成時の判断能力を検討。
   • 必要に応じて専門家（医療関係者・鑑定人）の意見を聞く場合もある。
     • 鑑定費用の目安：約15～30万円
2. 示談交渉の開始
   • 各遺言書のどの部分が有効となるか、法的根拠を整理。
   • 相手方も「家庭裁判所での調停」「遺言無効訴訟」を検討していたが、弁護士同士の協議で和解の可能性を探る。
   • 当事者の「父親の意思を尊重したい」という共通認識を引き出し、遺産分割協議の方法を提案。
3. 最終合意・費用の目安
   • 弁護士費用（示談交渉）：着手金は22万円、報酬金は最終取得財産（経済的利益）×報酬金算定率。
   • 各遺言書の一部内容を折衷し、不動産は小林様が相続、預貯金の一部を姉・弟に支払いという形で調整。
   • 最終的には家庭裁判所の調停や裁判に進まず示談成立となり、手続き期間を大幅に短縮。

まとめ：

このケースでは、複数の遺言書が存在し、無効主張まで飛び出す複雑な状況でした。しかし、当事務所が示談交渉を主導し、早期に争点を整理したことで、裁判手続きへ移行することなく解決に導くことができました。家族間の対立が長期化せず、弁護士費用や精神的負担を最小限に抑えられた成功事例と言えます。