刑事弁護

第1 刑事事件に関わることはありえる

捜査機関側から罪を犯したと疑われており、捜査の対象になっている人を被疑者といいます。身に覚えのない方でも、捜査機関側の捜査対象になれば被疑者となり、捜査後に起訴された場合には被告人と呼ばれます。一般の方でも、捜査機関の捜査の対象となれば、被疑者・被告人に位置づけられることはあり、正当な防御を行うため、弁護士の助けが必要となる場合もあります。

また、犯罪の被害にあわれた被害者として、あるいは、被害者が不幸にも亡くなられている場合には遺族等として、刑事事件に関わることがあります。

第2 刑事事件の手続きの流れについて

1 手続きの流れ

刑事事件の手続きの流れについて

2 手続きについて

⑴ 捜査

警察が通報等、何かしらのきっかけから事件について調べ始めます。捜査によって、犯罪をした疑いがある、いわゆる被疑者として浮上した場合、任意の取調べのため警察署へ出頭を求められることがあります。

⑵ 逮捕

逮捕とは、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があり、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがある等の逮捕の必要性があるときなどに、被疑者の身体を最大3日間拘束することをいいます。罪を犯したからといって、必ず逮捕されるということではなく、また逮捕されたからといって必ず罪を犯したということではありません。

⑶ 勾留

勾留とは、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があり、被疑者が逃亡、証拠隠滅の相当なおそれがある場合などに、被疑者・被告人の身体を拘束することをいいます。起訴前の勾留の期間は原則10日間、延長された場合最長20日間、起訴後の勾留の期間については2か月間、1か月ごとに更新が可能となっています。

勾留は、必ずされるものではありませんし、された場合、段階に応じて不服を申し立てることなどができることになっています。

⑷ 起訴・不起訴等

警察官・検察官の捜査の結果、検察官が起訴相当と考えた場合、略式請求又は公判請求という方法で起訴します。

略式請求・略式命令とは、被疑者の同意を得て,公判を開かず,簡易裁判所が書面審理で刑を言い渡す簡易な刑事手続によってなされる裁判を請求する起訴で,一定額以下の罰金又は科料の刑を科す場合に限ります。公判請求された場合と比べて迅速に刑事事件が終了するものの、前科としてはカウントされます。

公判請求とは、公開した法廷における審理を求める起訴のことで、よくドラマでみかけるものです。

第3 被疑者・被告人として刑事事件に関わる場面

1 捜査段階

罪を犯してしまった場合、自首したい、被害者の方に謝罪したい、警察から取調べに応じてほしいと言われたなど、捜査段階からどうしたらよいか分からず悩むことも多いと思います。他方、罪を犯していない場合、捜査機関からの求めが将来的にあった場合の対応も検討しておく必要があります。

逮捕されて裁判になる場合でも、事件に関する重要な証拠が捜査の初期段階で確保されることが多いことからすれば、なるべく早い段階で弁護士に相談し、適切な対応を取ることは極めて重要です。

2 逮捕段階

逮捕された場合、取調べを受けることになりますが、どういう風に対応したらよいか分からないのも当然です。自分や家族が逮捕された場合、早期に弁護士に相談、接見することが重要です。

費用的に私選弁護士を依頼することが難しい場合、弁護士会に申し入れ、初回の接見については「当番弁護士制度」を利用することも考えられます。

3 勾留段階

⑴ 起訴前

逮捕に引き続き勾留段階においても、取調べ対応等について法的な助言を受けることは重要です。また、特に勾留は起訴前でも最長20日間にもわたることから、速やかに身体拘束からの解放を求める活動が必要な場合もあります。

私選弁護士に依頼することが難しい場合、「国選弁護制度」というものが利用できます。

国選弁護制度とは、被疑者や被告人が、資力がないなどの理由で弁護人を自ら選任できないときに、国の費用で弁護人を選任する制度です。ただ、対象となる事件や、国選弁護人をつけられる要件は、刑事訴訟法に定められており、必ず利用できるものではありません。また、費用は、私選弁護士と比べかなり低額ですが、負担しなければならない場合があります。

⑵ 起訴後

起訴されてからも勾留されている場合、公判についての方針を決めるなどのために引き続き接見は必要ですし、並行して身体拘束からの解放を求める活動が重要になってきます。

保釈という言葉をよく耳にするかと思います。保釈とは、一定の場合に、保釈保証金を納付することで身体拘束を一時的に解く制度のことです。保釈保証金は、何事もなければ返還されます。保釈保証金の額は、事案によりけりですが、数百万円になることが多いです。

4 公判段階

弁護人が付されていないと裁判ができない事件でなくとも、通常弁護士に依頼することが望ましいでしょう。公判段階において、一定の場合「国選弁護制度」が利用できます。

第4 犯罪の被害に遭われた方・遺族として刑事事件に関わる場面

犯罪の被害に遭ったなどの場合、犯罪被害者支援制度(法務省「犯罪被害者の方へ」)も存在しますが、弁護士に相談・依頼することが望ましい場合もあります。例えば、捜査段階から警察署などに被害届を提出する、公判段階において証人として裁判所に出頭しなければならない、その後の別途民事において損害賠償をしたい、など様々あります。

特に自分や家族などが犯罪の被害に遭ったことを第三者に話すことは、とても精神的負担が大きいかとは思いますが、不安があるのであれば、とにかくまずは専門家に相談するのがよいでしょう。